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2025/02/16

2/16巻頭言「弔辞―山﨑克明先生を偲ぶ」 その➁

 長年ホームレスのためのシェルターを市に要求してきたが「自分たちでやる」と覚悟を決め2001年春、八幡東区茶町に「自立支援住宅」を開設した。2002年8月には国会で「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」が成立。これに基づき2003年1月初の「全国ホームレス実態調査」がなされた。
 この調査を担当してくださったのが当時北九州市立大学教授であった山崎先生だった。結果、市内に421名のホームレスを確認。「ホームレスのままで良い」と答えた人は3%に過ぎず「仕事をして自立したい」と答えた人は80%に達した。この結果に山崎先生は「北九州市のホームレスの場合、就労意欲が高い者が多いことが明らかになった。この背景には、比較的日の浅いホームレスが多いことと共に、NPO法人北九州ホームレス支援機構(現在の抱樸)の十数年に及ぶ活動が、この地のホームレスたちに生活・就労への希望そして生きがいを与えているように思われる」(「北九州市ホームレス調査結果報告書」15頁)と見解を述べて下さった。その後、大学内に「北九州ホームレス研究会」を発足してくださり、私自身研究会のメンバーとなった。とかく感情に左右されてきた私自身、この調査報告書が示した客観的事実の重みと影響の大きさに驚愕したことを覚えている。その後、私たちは、商工会議所、青年会議所、弁護士会、医師会、商店街などに参加を求め「北九州におけるホームレス問題解決のための市民協議会」を発足させた。この協議会会長を引き受けて下さったのも山崎先生だった。
 調査結果を受け北九州市は「NPO法人北九州ホームレス支援機構」に協力を要請。2003年5月には「巡回相談事業」が開始された。11月には市庁舎内9局からなる「ホームレス自立支援対策本部」が発足し本市におけるホームレス自立支援が本格的に始まった。一方「市民協議会」は2003年7月と2005年2月に市への要望書を提出した。要望書の中で山崎先生は「P・P・P―パブリック・プライベート・パートナーシップ」を説かれていた。「ホームレス自立支援を成功させるためには民間の支援団体とのパートナーシップに基づく取り組みが不可欠です。(中略)今後行われる市の実施計画作成にどれだけ民間支援団体および野宿者自身の声を反映できるかが問われています。行政のみが企画立案するのではなく民間のパートナーシップの下に行うべきです(特に今後設置される施設の設備内容や運営に関して)先駆的に行っている地域の経験に十分学ぶことが大切であると思います」。「先駆的に行っている地域の経験」とは、その2年前にスタートしていたNPOの自立支援住宅を指していた。当時保健福祉局保護課長だった藤村修さんが自立支援住宅を視察に訪れられたのは、この要望書を提出した直後だったと覚えている。市は要望のほぼすべてに対応。遂に2004年9月「ホームレス自立支援センター北九州」が開所した。大規模な住民反対運動に見舞われたが粘り強い説得を重ね、なんとかスタートを切ることができた。
続く

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