2024/12/08
12/8巻頭言「無駄なことはない―クラウドファンディングを振り返って」
奇跡のようなあの日から数日が過ぎました。改めまして「#希望のまちを諦めないクラウドファンディング」にご参加くださったすべての皆様、応援団のみなさん、以前から支えていただいたみなさんに心より感謝申し上げたいと思います。
5,243人のご参加と1億1,021万7,560円のご寄付をいただきました(最終報告は十日)。戦争は止まず、先行きに不安を抱く人が多い中、今回のクラウドファンディングは、それでも「希望」を捨てない人々の存在が証ししたように思います。私は今、希望のまちの胎動を感じています。
2019年11月プロジェクトははじまりました。その後、コロナ禍、戦争、円安、物価高と考えもしなかった事態に見舞われました。計画は大幅に遅れ、途中、断腸の思いで設計変更をしました。本年五月入札にこぎ着けました。しかし、結果は不落。「この計画は妥当だったのか」と自問自答する中、眠れない夜を過ごしました。二度目の設計変更を実施。不足した資金を集める一環で今回のクラウドファンディングを実施させていただき、目標を大きく上回る結果をいただきました。
ずいぶんと遠回りをしたようにも思います。しかし、この年月は無駄ではなかったと思います。「貧すれば鈍する」という言葉があります。確かに「貧する」ということは大変なことです。しかし、人は苦難の中で出会うことも出来ます。「貧すれば出会う」「貧すれば助け合う」。そんな現実もあることをこのプロジェクトは示してくれたと思います。当初の計画通りに順風満帆進んでいたら、これだけの参加者を得ることは無かったと思います。
かつて野宿生活を11年間続けた西原さんは自立されて15年になります。死線を越えてきた西原さんは、「生笑一座(生きてさえいればいつか笑える日が来る一座)」のメンバーとして子どもたちに語りかけます。「野宿はつらかった。二度と戻りたくない。しかし、あの日々は無駄じゃなった。今はそう言える。助けられる有難さ。助ける楽しみ。それを知るためにあの日々があったと今は言える」。私は、クラウドファンディング最終日、「無駄じゃなかった」という西原さんの言葉を噛みしめていました。
苦難は無い方が良いに決まっています。容易に「無駄じゃなかった」などと言えない傷を抱えた人も少なくありません。しかし、一方で「無駄じゃなかった」と言えることもある。それも事実です。 希望のまちプロジェクトは一筋縄ではいかない。いや、いってはいけなかったのだと思います。これからも困難な道をたどると思います。しかし、その困難な道でさまざまな人と出会えるとも思います。
来週二度目の入札を迎えます。先の入札不落から半年。あの日はつらかった。今回は笑顔で報告申し上げたいと思います。そして一月以降、なるべく早く着工したいと思います。
「わたしがいる あなたがいる なんとかなる」この言葉は本当だと思います。「希望のまち」はすでに始まっています。いずれ希望のまちでお会いしたいと思います。これからもよろしくお願いします。